ということで、2002年トップマスターズ第2戦琵琶湖は、初日を4本
=11,495gというウェイトでトップに躍り出てしまった。
信じられないが、トーナメントリーダーというやつである。
その夜は当然寝付けず、極度の緊張で2日目のスタートを迎えた。
今でもスタート前の引きつったあの顔は忘れないと友人に笑われるこ
とがある。
そして南一貴氏に言われた言葉は今でも忘れない。『金田さんチャン
スはモノにしないといけないですよ!』
2日目もファーストフライトで、向かう先は名鉄マリーナから天神川河口にかけてのリーズエリアであった。
初日終了間際にこのエリアに立ち寄ったが、プラで見つけていた水深50cmにいた2キロ半のオスは、幸運にも明らかに
釣れないボートポジションでべったりと張り付いた選手が居てくれたので、まだ残っているのを確認できていたのだ。
一直線にポイントに向かうが、遠めに見ると、プライベートの先行者が浮かんでいる様子である。
徐々に接近すると、僕の見つけていた場所横に、忘れもしない黄色のスキーターが浮いて必死にある場所を打っていた。
愕然とするが、そのすぐ近くに入れさせてもらい、リーズフロントにいた700gを狙い2回バイトしたが、フッキング直後に
バラシ、かなりイライラしている時、ふとスキーターの浮いている横を見ると、昨日見つけていた2キロ半の魚がいる。
スキーターの2人は別の方角を向いて必死にキャストをされており、『すいません!この魚狙わせてもらってもいいです
か?
』と言うと、『どうぞ!どうぞ!それメスで、オスはいないから釣れませんよ!』と言っていただき涙・・・。
その魚はオスなのであるが、そこから、自分が今置かれている状況をお話すると、『マジッスか!?がんばって下さい!』
と声援をいただき、2キャストで即その魚を獲り(ゲーリーリザードのヘビダン)、拍手喝さいまでいただき、幸先のいいスタ
ートであり、このリズムで行けば『もしや!』という気配はあった。
そして、すぐに
次のポイントへバウを向けた。
続いて、アクティバワンド近くのリーズの岬先端に、ボートが見えればすぐに逃げるが、すぐに口を使う魚1キロを追加(
ナミチューブ白のテキサスリグ)し、温存していたアクティバワンドへ入っていった。
もちろん自分の見つけていたピンはノーマークであり船は浮いておらず、そこに接近する。

(上の写真は初日3位で折り返した木村選手に同船していたNBCNEWSの富樫さんに撮ってもらっていました)
サイトでチェックを開始すると、水面は小波状態で2m付近はボヤける程度にしか見えず、魚が確認できない状況下での
キャストとなった。
前日プラでは、おぼろげながら1キロの魚が確認できたピンにテキサスをフォールさせると『コン!コン!』とバイトが出る
が乗らないことが数回続く!しばらくポイントを休めて、再度静かに近づき水面を凝視する。
と、そこにはなんと丸太!?が沈んでいる。『えっ!』と一瞬青ざめたが、バケモノのような体幅があるロクマルのメスを1
キロのオスが連れてきていたのである。
心臓は破裂寸前、これを獲れば夢にまで見た『JBマスターズ戦優勝!』は確実である。
その時、自分が浮いている50m南エリアでは同じく優勝争いをしている野村プロがスピニングタックルで、振り返れば魚を
獲っているという状況であった。この時野村プロは、何を狙って釣っていたのかは自分には理解できていなかった。
自分に落ち着けと言い聞かせながら、ヘビダンにてキャストを開始し、あるラインを通すと『プン!プン!プン!!』という独
特のバイトが出るが乗らず、ワームだけが取られてしまうことが3回も続く。
時折テキサスを投入すればラインが走り、フッキングするがなぜか?乗らない。
次第に冷静さも失われていく中、ヘビダンに『プン!プン!プン!!』とその場で押さえ込むようなバイトが出て、正に火事
場のクソチカラフッキングをしてしまい、16ポンドフロロラインは『パシッ!!』一瞬で切れてしまう。
前日知人に、至近距離でロクマルクラスをフッキングする際、くれぐれも慎重にフッキングするように言われていたのだが
そんな忠告は頭の中からは消えていた。
『優勝カップが・・・』、全身震えながら、再度リグを結んで、キャストを開始、次はゆっくりとラインが動き出すバイトが出た。
慎重にスイープ気味にフッキングすると、今度はしっかりと乗せることができた。
が、どうも軽いと思った瞬間、オスが水面に現れ、『あかん!!』と渋ったが、まずはネットにバスを入れることを考えてやり
取りし、魚をデッキにあげることができた。
そこで、このオスを手にし、再度リリースしてもう一度挑戦するか約15秒ほど考えたが、ライブウェルに入れる決断をした。
優勝が懸かったプロ戦で魚をリリースする根性はなかったのである。
昨日は2回バラしてたロクマルを粘って手にできた経緯もあり、そこからそのピンをしばらくの間狙うもバイトはまったくなく
なってしまい、そこに近づいて凝視するも魚は確認できず、しばらくしてそのポイントを見切ることにした。
今考えれば、そのエリアで別の釣りを展開すれば、よかったのだが僕は
サイトをやり出せば他の釣りにはまったく手が出せなくなってしまう。
そこから優勝するためデカイ魚をあと2本追加することだけを考えて、移
動した先はプリプラでかなり熱く、フットボールを打てば3キロのメスが数
本出ていた下物エリアのマンメイドシャローエリア(コンタクトポイント)で
あった。
ちなみに南湖を横断中、『頼む!神様!魚を!』と目からは涙を流しな
がら突っ走っていたのを思い出す。
だが、そのコンタクトポイントは既にもぬけの殻となっており、そこからサイトフィッシングに切り替え赤野井のリーズに移動す
るも、魚を見つけることはできず、再度アクティバワンドに戻ってサイトフィッシングを行うも、時計の針は帰着時間に近づき山
ノ下湾の会場へ戻ることとなってしまった。
結果3本=4,595gで2日目は24位と大きく後退、トータル5位で終了
となった。
初のお立ち台でいい経験はできたが、今回はせっかくのチャンスを逃し
た結果となった。
勝負は本当に紙一重であり、全てが自分に味方し、最大の準備をして
いる人間にしか勝てないという教訓を教わった。
やはり『あのカップを手にし、両手で頭上に突き上げたい!』と強く思う
今日この頃である。(このページ全ての写真NBCNEWS提供)
(2005・1・15)
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