このロクマルは、2000年湖南チャプター第3戦の前日プラックティスで、シャローをチェックしている時に見つけた魚で
あったが、警戒心はかなり強く、ボートが7mぐらい近づいた時点ですぐに逃げるかなり難易度の高い魚であった。
したがってこの魚を見つけた堅田のリーズは、他に数名の選手にチェックされてはいたが、他の人はこの魚の存在に
は気付いていなかった。この日は他の人にバレないよう一投もせずプラックティスを終えた。
試合当日、真っ先に例のポイントへ向かうと、やはり自分のエリアには先行者はおらず、1番乗りしキャストを開始する。
だが、ポイントまではかなりボートポジションを取っており完全に ブラインドの釣りとなるため、魚がそこに居てくれてい
るのか、リグを見て逃げて反応しない魚なのかもわからない状況で、キャストを繰り返すも時間だけが過ぎていくといっ
た感じであった。
1時間後ようやくバイトしてきたのは、テキサス3/8ozの赤リザードであったが、微かなわかりづらいバイトであったため
フッキングするとすっぽ抜けてしまった。
やがてバイトも遠のき出したため、今度はリグをサイズダウンし、この時代にはリーサルウェポンとしてかなりの自信を
持って使っていた『赤のサタンワーム3in』のヘビDSというリグに換えた。
予想通り、数投目、今度は明確に『コッ!コーン!』とバイトが出た。
緊張が走り、即フッキング!あの独特の重さが伝わり、カマー376は弓なり。
しかも今考えるとかなり無謀かも?当時はどんなリーズの中でも8ポンドを何の不安もなく使っていた。
この太さでもラインブレイクせずにランディングできる自信があったのだ。
フッキング後、荒れ狂うこのビッグフィッシュに1塊りのアシに巻かれ、ラインがアシに絡んで動けなくなり、5秒程
静止、横向けになって腹を見せ止まっている・・・距離はボートから6m程離れている。
『頼むー!!』
すぐにエレキ全開で近づこうとした瞬間、『フッ』とロッドが軽くなりバレてしまう・・・。
魚は悠々と沖へ向かって泳いで行ってしまった・・・。
引っ掛かったアシにフックを外しに近づくと、やはりライン切れではなくフックが外れていた。
トーナメントに限らず、バラした魚はデカイと言うが、自分の中では『今のは間違いなくナナマル級!やってもうたー!』
と、失意のどん底状態であった。
この時点でトーナメント開始後かなりの時間が経過していた。
すぐさま別のエリアへ移動し、3本追加したが、やはり朝一のエリアが気になり戻ることにした。
やはり自分のエリアは空いており、慎重に近ずくと・・・『えっ!』。
更に警戒心を強めているがあの魚はほぼ同じエリアに戻り、うろついている。
さすがに何を投げてもバイトは出ない。
もう無理か?移動するか、迷いに迷ったが、この試合は絶対に優勝すると決心して臨んだ試合であり、移動して普通の
魚を獲ったところで、優勝の2文字を掴むことはできず考えた末、この魚に賭ける選択肢を選んだ。
またしても、ロクマルに向き合い、今度はカラーを大きく変えパールホワイト系にし、ケイテックストレート4inのヘビDSを
キャストし、スローにアプローチを開始する。
すると、すぐに同じバイトが出たため、慌ててのけぞりながらフッキングをする。
運良く今度は、自分から沖へ走り出してくれ、エレキ全開で巻きながら追いかける。
そこからは沖でリールを巻いては、クラッチを切りのやり取りで、途中数回水面で暴れたが、ロッドを水中に突っ込み
耐えて、 その間7,8分くらいであったか、心臓はバクバクモード。
『 頼む!切れるな!切れるな!』(声にも出していた)と祈りながらやり取りをする。
たまに底で魚が動かなくなる、 この時は、根掛かったか?と思うくらい重すぎる!
やっとの思いでボートに引き寄せ、魚はゆっくりと体半分ネットに入ってくれたと思うのもつかの間・・・
また、暴れ、水中に向かい一気に走る。この時は終わったか?とも思ったが。
再び水面に現れた魚は、今度はネットの中に体全てを入れてくれ、両手でネットを抜き上げる。
この時ばかりは大絶叫してしまった。
チャプター戦ではあったが、試合でロクマルを獲れるなんて夢にも思っていなかった。
また試合も優勝という結果を残せ、大満足な試合となった。確かこの魚1本のウェイトは4キロをギリギリ切っていた
と記憶している。
余談であるが、上のお立ち台写真を見ていただいた方は気づいていただけたかと思うが、実は私の隣にいるのは今
や、ワールドで大活躍中の福島健プロである。昔からサイトの達人であったが、この試合はその福島選手に勝てた
ことが何より嬉しかったのである。
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